月山 志津〜月山〜南尾根 2008.03
四谷川出合を目指して飛ばして行く
山 域 |
月山 南尾根 |
山行日時 |
2008年3月9日(日) |
天 候 |
快晴 |
メンバー |
千田 坂野 |
行 程 |
志津6:07〜石跳川〜森林限界7:55〜牛首9:37〜月山10:52〜南尾根1265m12:30〜四谷川出合13:04〜登り返し終了〜志津14:45 気温 0〜6℃ GPS計測距離 18.5km 累計登高 1650m |
月山の南尾根と言ってもご存じない方が多いと思いますが、姥ヶ岳の山頂からは良く見える尾根で、自分では何時かは滑ってみたい尾根の一つだった。しかし、ワンデーでトレースするとなると末端から取り付いたのでは無理で、結局、いったん月山の山頂に立ってから降りるしかなく、四谷川出会いからは200mの登り返しで志津に戻る事になる。四谷川出合付近の徒渉は問題無いのが解っていたので、後はお天気次第と言う事になった。
この四谷川界隈は、4月頃に地元スキーヤーにトレースされている様だが、この時期となると訪れる人は殆どいないと思われる。また、以前3月に本道寺コースを辿った時も強風に泣かされたが、今回も山頂付近はやはり強風と上部のシュカブラとの格闘の様だった。好天に恵まれた月山には他に2人がやって来た様で、いよいよ山スキーヤーが待ちかねたロングコース解禁の日々の雰囲気だった。
|
【概要】
仙台を3時半に出発して志津駐車場に着いて見ると、以外にも山形ナンバーのボーダーの皆さんがいた。気温があがって雪質が悪くなるのを嫌った様で、身支度を整えると先行してキャットのツアーコース方面に向かって行った。朝日に輝く湯殿山東斜面は眩しく、前方に見える姥ヶ岳は静寂で美しい世界。我々は石跳川コースを忠実に辿り、やがてすっかり踏み固められたコースから外れ、意外と深い靴位のラッセルで姥沢上部の尾根を目指す。
|
|
|
白く輝く湯殿山の東斜面 |
|
姥ヶ岳の山頂も静かな雰囲気 |
|
|
|
|
|
石跳川の左岸は意外とデープパウダー
|
|
姥ヶ岳下うをトラバースして牛首へ |
|
|
|
石跳川からは姥沢上部の森林限界付近の尾根に飛び出し、姥ヶ岳の東斜面を大きくトラバースして牛首を目指す。この無垢の大斜面を辿って山頂に至る行程はやはり感動的で、東北、いや全国的にも素晴らしいロケーションであり、4月頃の喧騒とはまるで無縁の別世界にも思える。意外と昨日に訪れたお客さんはいなかった様で、東斜面はまだノントラックのパウダー斜面は温存されている。しかし、今日の好天で多くのスキーヤー・ボーダーが訪れ、あっという間にトラックだらけになるだろう。
紫灯森の手前で品倉尾根が姿を現すと、はるか彼方には純白に輝く鳥海山の雄姿が見えてくる。今日の鳥海山だったらきっとワンディ登頂のまたと無いチャンスだったろう。朝日連峰主脈上の小朝日岳・大朝日岳、そして遠くに蔵王・吾妻連峰は勿論、磐梯山さえ望まれる好天。今シーズンで初めて遭遇するチャンスでもあり、是非登頂して南尾根を下降したい。
|
|
|
|
品倉尾根の南斜面 |
|
山頂は静寂の雰囲気だったが |
牛首では今日初めて小休止を取り、スキーアイゼンをセットして鍛冶小屋跡下の斜面取り付く。意外とアイスバーンは少ないが、荒れたシュカブラが月山の強風模様を物語っていた。途中で後ろを振り向くと、姥沢東斜面の単独のスキーヤーが月山方面を目指しており、我々の後を追って近づいて来る様だった。鍛冶小屋跡付近になると急に風が強まり、気温は0℃位だが体感温度は低く、指先が冷たくなって厳冬期の様相となる。
アイゼンを効かしてシュカブラの斜面を登り切ると、左からの猛烈な北西の風に飛ばされそうにながら前進し、ようやく荒れた月山山頂に立つ。当初は月山の東斜面を遊んで帰るつもりだったが、そんな事は問題外の強風なのですぐさま退散し、100m程戻った小屋の陰に逃げ込んで一息つく。ここでシールを剥がしたい所だが、強風で体ごと流されそうでシールはそのままで下降する。すると突然下から単独後者が上がって来たが、彼は殆どノンストップの素晴らしいスピードの持ち主だった。秋田県 本庄市の方で月山は初めてらしかったが、やはり好天時の鳥海山も様子を伺っている様だった。
|
|
|
鍛冶小屋下の斜面はスキーアイゼンを効かせる |
|
強風の山頂を後にして南尾根を目指す |
|
山頂から少し南に下がると広い平坦なアイスバーンとなり、雪煙の上がる強風の中をひたすら真南を目指して下降する。相変わらずシュカブラが続いて快適とは言えないが、10分ほど下ってから風の弱まった頃合を見てシールを剥がし、左の本道寺コースと分かれて右の南尾根に入って行く。風は強いが視界は効いているので不安はなく、まるでスケートリンクの様なコースだが、迷わず南尾根を目指してどんどん下降して行く。1700m付近からは顕著な尾根となり、フラットな斜面を選んで下りて行くとやがて風も弱まり、ようやくスキーを楽しめる雰囲気となる。
視界も広がって姥ヶ岳・湯殿山が姿を現すと、今までは見た事の無い姥ヶ岳東斜面の真っ白の大斜面が見える。今頃は多くのスキーヤー・ボーダーできっと賑わっている頃だろう。やがて斜面はフラットな広い尾根コースとなり、お待ちかねのパウダーランの始まりだ。やはり未知のコースのワクワク感はたまらなく、やって来て本当に良かったと時間する瞬間でも有る。ややパック気味の斜面でも文句は言わず、中間部の重めの雪もテールスキー気味で下りて行く。
|
|
|
|
山頂付近は未だに厳冬期 |
|
シュカブラも物ともせず下降する |
|
|
|
|
|
|
左の湯殿山と姥ヶ岳の東面 |
|
適度な斜面は快適クルージン山頂付近は未だに厳冬期 |
|
|
|
1395mを過ぎる辺りから左に雪庇が現れるが、雪の豊富なこの地では格好のスロープとなり、山スキーヤーにとっては理想のコースとなる。見栄えのするルンゼの滑降も悪くは無いが、地味な尾根コースでも負けない魅力が有り、オールラウンド山スキーを目指す者にとっては素晴らしい課題でもある。この時期の雪質の変化は激しく、アイスバーン・シュカブラ・最中雪・パウダー・湿雪と連続する。全てこなす為には高い技術が必要で、きっと長年の実戦経験を経ないと到達し得ない世界だろう。
1265m付近で小休止の後しばらく緩斜面を滑り、痩せた尾根から四谷川への下降点を探して右の斜面を観察する。北斜面のトラバース時につい気が緩んでしまい、雪庇のずれた跡のクラックに落ちてしまい、ようやく抜け出すと今度は末端の痩せ尾根に突き当たってしまう。右の下降路となるのは45度位はある南面の腐った急斜面で、点雪崩跡と共に大きなスノーボールがゴロゴロ落ちている。悩むところだが思い切って斜面を突っ切って突入し、雪が安定している事を確認してからショートターンで下りて行く。ドラム缶半分くらいのスノーボールと共に落ちて行くのも不気味だが、意外とスムーズに沢床に降りられたのは幸運だった。
対岸の尾根への登返しは標高差200mあまりだが、蔵王東面の丸山沢の登り返し(ヒヨドリ越え)よりはましな位で、その後はキャットツアーコースに飛び出して板が良く走り、志津スキー場跡を流して下ると駐車場に辿り着いた。今日はキャットの運転はしていなかった様だが、スノーシュー&スキーのトレースで高速道路化しており、意外と賑わっている様子は予想外だった。
|
|
|
|
視界は良好で迷わず下降 |
|
朝日連峰 吾妻連峰 果ては磐梯山まで |
|
|
|
|
|
|
豊富な積雪は月山ならでは |
|
雪庇の上は山スキー向きの斜面 |
|
|
|
|
|
|
四谷川左岸から登り返しコースを望む |
|
尾根末端の急峻な斜面を下降 |
|
|
|
|
|
|
月山 南尾根上部を望む |
|
湯殿山と姥ヶ岳 |
|
|
|
|
月山 志津〜姥沢〜石跳川周辺 MAP
|
|